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最終更新: 2026年11月|当システム提携医師の監修

解熱剤の正しい使い方 — 「何度になったら飲む」ではありません

解熱剤の正しい使い方 — 「何度になったら飲む」ではありません

「38.5度を超えたら解熱剤」と数字で覚えていませんか。実は解熱剤を使う判断基準は体温の数字ではありません。そして、大人と子どもでは「使ってよい成分」が異なります。家庭に常備するお薬だからこそ、正しい使い方を知っておきましょう。

この記事の要点
「つらさ」で使うかを決める
子どもは体重で量が決まる
次に使うまで6時間以上

どうやって効くの? — 熱が出るしくみと解熱剤の働き

私たちの体温は、脳の「体温調節の中枢」が決めた設定温度に合わせて保たれています。ウイルスや細菌に感染すると、体の中でプロスタグランジンという物質がつくられ、この設定温度が上がります。

設定温度が上がると、体は「今は寒すぎる」と判断します。そのため、ふるえ(寒気)や手足の冷えで熱をつくり、逃がさないようにします。熱の出始めに寒気がするのはこのためです。体温が設定温度に届くと寒気はおさまり、今度は暑さを感じるようになります。

解熱剤は、プロスタグランジンの働きを抑えたり、体温調節の中枢に働いたりして、上がった設定温度を少し下げます。すると汗が出て、体温が下がります。ただし、熱の原因であるウイルスや細菌を退治するわけではありません。薬の効果が切れると、また熱が上がることがあるのはこのためです。

いつ使う? — 「数字」ではなく「つらさ」で

✅使ってよいときつらくて眠れない・水分や食事がとれない・頭や体の痛みが強い。熱を下げて体力を保つのが目的です。
⏸️様子見でよいとき高めの熱でも、眠れていて水分がとれているなら、無理に下げなくて大丈夫です。
⏰間隔を守る次に使うまで6時間以上が目安。「効かないから」と早く重ねるのは危険です。
🧊薬以外の工夫首すじ・わきの下を冷やす、薄着にする、水分をこまめに。寒気があるうちは温めます。

大人と子どもで「使える成分」が違います

🧑大人 🧒子ども
基本の成分アセトアミノフェン または NSAIDs(ロキソプロフェン・イブプロフェン等)アセトアミノフェンが原則
避けたいケース妊娠中・胃潰瘍の既往・腎機能低下・喘息の方はNSAIDsに注意NSAIDsの自己判断使用は避ける。インフルエンザ時のアスピリン等は重い合併症と関連
剤形錠剤が中心シロップ・粉・坐薬(吐き気があるときに便利)
量の考え方製品の用法用量どおり体重で決まる。大人用を割って使うのは不正確で危険

※ 概要の整理です。持病・妊娠中・授乳中の方、乳幼児については、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

代表的な成分の違い

解熱剤として使われる主な成分を、一般名(成分の名前)で整理します。

成分(一般名) 系統 特徴 子どもへの使用
アセトアミノフェン—胃や腎臓への負担が少ない。炎症を抑える力はほとんどない。飲み薬・シロップ・坐薬がある第一選択
イブプロフェンNSAIDs解熱・鎮痛・炎症を抑える作用がある。市販薬にも多い市販薬は15歳未満には使わない。子どもへの処方は医師の判断で
ロキソプロフェンNSAIDs大人の発熱・痛みに広く使われる市販薬は15歳未満には使わない
アスピリン(アセチルサリチル酸)NSAIDs古くからある成分15歳未満には使わない(ライ症候群という重い病気との関連)
ジクロフェナク・メフェナム酸NSAIDs痛み止めとして処方されることがあるインフルエンザのときは使わない(インフルエンザ脳症の悪化との関連)

※ 一般的な整理です。大人でも、インフルエンザが疑われるときの解熱剤はアセトアミノフェンが選ばれることが多くあります。

飲み方のコツと、よくある副作用・飲み合わせ

🥤水分と一緒に熱が下がるときは汗をかきます。薬は水かぬるま湯で飲み、その後もこまめに水分をとりましょう。
🍙NSAIDsは空腹を避けて食事がとれないときは、胃への負担が少ないアセトアミノフェンが選ばれることが多いです。
💊かぜ薬と重ねない市販の総合かぜ薬には、解熱成分がすでに入っています。解熱剤と一緒に飲むと、同じ成分が重なります。
🔁坐薬と飲み薬も「同じ薬」同じ成分の坐薬と飲み薬を続けて使うと量が多くなります。切り替えるときも間隔を守ってください。

よくある副作用は、NSAIDsでは胃の痛み・胸やけ・吐き気です。汗をたくさんかいて急に熱が下がると、ふらつきや、体が冷えすぎることもあります。アセトアミノフェンは決められた量を守れば副作用の少ない薬ですが、飲みすぎると肝臓を傷めることがあります。まれに、発疹・顔の腫れ・息苦しさなどの強いアレルギー反応や、喘息の発作が起こることがあります。こうした症状が出たら使うのをやめ、すぐに受診してください。

飲み合わせでは、血液をサラサラにする薬、一部の血圧の薬・利尿薬を使っている方は、NSAIDsで影響が出ることがあります。ふだん飲んでいる薬があるときは、お薬手帳を用意して医師・薬剤師に伝えてください。お酒は、熱があるときは脱水を進めるうえ、胃や肝臓への負担も増えるため、ひかえましょう。

市販薬と処方薬の違い

市販薬 処方薬
成分アセトアミノフェン・イブプロフェン・ロキソプロフェンなど。総合かぜ薬には、せき止め・鼻水止めなど複数の成分が一緒に入っている症状に合わせて単一の成分を選ぶことが多い
子ども向け子ども用のアセトアミノフェン製剤がある。年齢の区分で量が決まる体重に合わせて量を決められる。シロップ・粉・坐薬から選べる
選び方自分で選ぶ。薬剤師に相談できる熱の原因の見立て、持病・ほかの薬もふまえて医師が選ぶ
向いている場面原因の見当がつく、短い期間の発熱熱が続く、持病がある、子ども・妊娠中など薬選びに迷うとき

こんな人・こんなときは使う前に相談を

👶生後3か月未満の赤ちゃん解熱剤で様子を見ず、すぐに受診してください。
🤰妊娠中・妊娠の可能性があるNSAIDsは妊娠の時期によって赤ちゃんへの影響が報告されています。市販薬も含め、使う前に相談を。
🍼授乳中授乳中にも使える解熱剤はありますが、成分を選ぶ必要があります。授乳中であることを伝えてください。
👵高齢の方熱で脱水になりやすく、NSAIDsで腎臓や胃腸に負担がかかりやすくなります。熱が高くなくても、ぐったりしているときは受診を。
🩺喘息・胃潰瘍・腎臓・肝臓の病気がある使える成分が限られることがあります。
⚡熱性けいれんを起こしたことがある子ども解熱剤でけいれんを防ぐ効果は確かめられていません。使い方やけいれんへの備えを、かかりつけ医に相談しておきましょう。

受診の目安

「熱があって、解熱剤を使うか迷っている」という方へ。上から順に、当てはまるかどうかを見てください。

1危険なサインはある?

  • 呼吸が苦しい
  • ぐったり・反応が鈍い
  • 水分がとれない
  • けいれん
  • 生後3か月未満の発熱
ある
救急外来を受診 または 119番
ない
次の質問へ

2解熱剤を使っても心配が残る?

  • 高熱が3日以上
  • 何の感染症か知りたい
  • 持病があり薬選びに迷う
はい
オンライン診療で相談できます外出せず自宅から。状況に合わせた解熱剤の使い方もご案内
いいえ
「つらさ」に合わせて正しく使用でOK水分・休養を基本に。長引くなら受診を
熱のときの薬選び、
迷ったら診察でご相談を。
発熱の相談をする
お子さん・持病のある方の薬選びも、自宅からご相談いただけます

よくあるご質問

解熱剤で熱を下げると治りが遅くなりませんか?
つらさを和らげて睡眠・水分をとれるようにするメリットのほうが大きい場面が多くあります。「つらいときに使う」を基本にすれば心配しすぎる必要はありません。
子どもがインフルエンザのとき、家にある解熱剤を使っていい?
子どもの解熱剤はアセトアミノフェンが原則です。特にインフルエンザや水ぼうそうのときに一部のNSAIDs・アスピリンを使うことは重い合併症との関連が指摘されています。判断に迷ったらご相談ください。
坐薬と飲み薬はどちらが効きますか?
効果は大きくは変わりません。吐き気があって飲めないときは坐薬が便利、という「使い分け」の問題です。
解熱剤を使っても、平熱まで下がりません。
解熱剤は熱を平熱まで下げきる薬ではなく、少し下げてつらさをやわらげる薬です。平熱まで下がらなくても、楽になって眠れたり水分がとれたりしていれば、効いていると考えてよいでしょう。早めに追加で使うのは避けてください。ぐったりしている、水分がとれないといった様子があれば、熱の高さにかかわらず受診を。
解熱剤で熱が下がったら、仕事や学校に行ってもいいですか?
薬で熱が下がっていても、病気が治ったわけではありません。インフルエンザなど、感染症の種類によっては学校を休む期間の決まりがあります。周りにうつさないためにも、薬を使わずに熱が下がって体調が戻るまでは、無理をせず休みましょう。
熱が上がりきる前の、寒気があるときに使ってもいいですか?
寒気やふるえがあるのは、体が熱を上げている途中のサインです。この時期は、まず温かくして水分をとりましょう。寒気がおさまり、暑くてつらくなってきたころが、解熱剤を使う目安になります。ただし、頭痛や体の痛みが強いときは、その時点で使ってもかまいません。

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参考文献・出典:各成分の添付文書/日本小児科学会 関連情報(小児の解熱薬使用)

免責:本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、特定の医薬品の使用を推奨するものではありません。実際にどのお薬を使うかは、症状・体質・持病・併用薬をふまえて医師が診察のうえ判断します。お薬の使用にあたっては、必ず医師・薬剤師の指導に従ってください。緊急の症状がある場合は、119番または救急外来をご利用ください。