最終更新: 2026年11月|当システム提携医師の監修
痛み止めの使い分け — 2つの系統の違いを知っていますか

頭痛に、生理痛に、発熱に。「痛み止め」は最も身近なお薬ですが、実は大きく2つの系統があり、体への働き方も、注意すべき点も異なります。違いを知っておくと、市販薬を選ぶときも、診察で相談するときも役に立ちます。
- 痛み止めは大きく「アセトアミノフェン」と「NSAIDs(エヌセイズ)」の2系統
- NSAIDsは炎症を抑える力がある一方、胃への負担に注意が必要です
- アセトアミノフェンは胃にやさしく、子ども・妊娠中でも使いやすい成分です
- 市販のかぜ薬にも痛み止め成分が入っていることが多く、「気づかない重複」に注意
- 妊娠中・授乳中、胃潰瘍・腎臓・喘息などの持病がある方は、使う前に相談を
- 月に10日以上飲み続ける状態は、頭痛を悪化させることがあります
どうやって効くの? — 痛み止めのしくみ
けがや炎症が起きると、体の中でプロスタグランジンという物質がつくられます。この物質が、痛みを感じやすくしたり、腫れや熱を起こしたりします。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、プロスタグランジンをつくる酵素(COX:コックス)の働きを抑えます。痛みのもとを減らすので、痛み・腫れ・熱をまとめて抑えられます。ただし、プロスタグランジンには胃の粘膜を守る、腎臓の血流を保つといった役目もあります。そのため、胃が荒れる・腎臓に負担がかかるといった副作用が出ることがあります。
アセトアミノフェンは、主に脳に働いて、痛みの感じ方や体温の調節を整えると考えられています。炎症を抑える力はほとんどありませんが、胃や腎臓への影響が少ないのが特徴です。
どちらも「痛みの原因を治す薬」ではなく、痛みをやわらげている間に体が回復するのを助ける薬です。痛みが続くときは、原因を調べることが大切です。
2つの系統の違い
| 🌡️アセトアミノフェン (カロナール等) | 🔥NSAIDs (ロキソプロフェン・イブプロフェン等) | |
|---|---|---|
| 働き方 | 脳の体温調節・痛みの感じ方に働く | 痛み・炎症のもと(プロスタグランジン)の産生を抑える |
| 炎症を抑える力 | ほとんどない | ある(腫れ・炎症を伴う痛みに) |
| 胃への負担 | 少ない | あり(空腹時を避け、胃薬併用が望ましいことも) |
| 子ども | 第一選択 | 小児では避けるのが原則(一部成分を除く) |
| 妊娠中 | 使いやすい(医師に相談のうえで) | 特に妊娠後期は避ける |
| 注意したい人 | 肝臓に持病のある方・飲酒量の多い方 | 胃潰瘍の既往・腎臓が悪い方・喘息の方(アスピリン喘息) |
※ 代表的な違いの整理です。効果の感じ方には個人差があり、どちらが「強い」と単純に言えるものではありません。
代表的な成分の特徴
同じNSAIDsの中にも、いくつかの成分があります。ここでは一般名(成分の名前)で、よく使われるものを整理します。
| 成分(一般名) | 系統 | 特徴 | 市販薬 |
|---|---|---|---|
| アセトアミノフェン | — | 胃にやさしく、子どもや妊娠中にも使われる。炎症を抑える力はほとんどない | あり(子ども用もある) |
| ロキソプロフェン | NSAIDs | 効き始めが比較的早いとされ、頭痛・歯痛・生理痛などに広く使われる | あり(薬剤師の説明が必要な第1類医薬品) |
| イブプロフェン | NSAIDs | 市販の頭痛薬・生理痛薬によく含まれる | あり |
| アスピリン(アセチルサリチル酸) | NSAIDs | 古くからある成分。血を固まりにくくする作用もある。15歳未満には使わない | あり |
| セレコキシブ | NSAIDs | 胃への負担が比較的少ないよう工夫されたタイプ。関節や腰の痛みなどに | なし(処方のみ) |
| ジクロフェナク | NSAIDs | 炎症を抑える力が強い。飲み薬のほか坐薬・湿布・塗り薬もある | 塗り薬・湿布はあり |
※ 一般的な整理です。同じ成分でも、量や剤形、ほかに含まれる成分によって注意点が変わります。
使い分けの考え方
飲み方のコツと、よくある副作用・飲み合わせ
よくある副作用は、NSAIDsでは胃の痛み・胸やけ・吐き気、むくみなどです。まれに、胃や腸からの出血(黒い便、血を吐く)、喘息の発作、じんましんや顔の腫れ、息苦しさといった強いアレルギー反応が起こることがあります。アセトアミノフェンは決められた量を守れば副作用の少ない薬ですが、飲みすぎると肝臓を傷めることがあります。気になる症状が出たら飲むのをやめ、黒い便・息苦しさ・顔の腫れがあれば、すぐに対面で受診してください。
飲み合わせで特に注意したいのは、次のようなお薬を使っている方です。
- 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬):NSAIDsと一緒に使うと出血しやすくなることがあります
- 一部の血圧の薬・利尿薬:NSAIDsで効き方が変わったり、腎臓に負担がかかったりすることがあります
- 一部の抗菌薬(ニューキノロン系):成分の組み合わせによって、けいれんへの注意が必要です
- 市販のかぜ薬・頭痛薬:同じ成分が重なりやすく、気づかないうちに量が多くなります
ふだん飲んでいるお薬があるときは、お薬手帳を手元に用意して、医師・薬剤師に伝えてください。
「飲みすぎ」のサインに注意
痛み止めは正しく使えば安全性の高いお薬ですが、月に10日以上飲む状態が続くと、かえって頭痛を悪化させることがあります(薬物乱用頭痛)。「効きが悪くなった気がして回数が増えている」「痛くなる前に予防的に飲んでしまう」——そんな状態は、痛みの原因そのものを治療するタイミングです。
市販薬と処方薬の違い
| 市販薬 | 処方薬 | |
|---|---|---|
| 成分 | アセトアミノフェン・イブプロフェン・ロキソプロフェンなど。カフェインや眠くなる鎮静成分が加えてあるものも多い | 症状に合わせて単一の成分を選ぶことが多い。市販されていない成分も使える |
| 選び方 | 自分で選ぶ。薬剤師に相談できる | 医師が痛みの原因・持病・ほかの薬をふまえて選ぶ |
| 胃への配慮 | 胃を守る成分が入った製品もある | 必要に応じて胃薬を一緒に処方できる |
| 向いている場面 | たまに起こる、原因がわかっている痛み | 繰り返す痛み、市販薬で効かない痛み、持病がある方 |
市販の鎮痛薬に加えられている鎮静成分は、眠気が出ることがあります。運転や機械の操作をする日は、成分表示を確認してください。
こんな人・こんなときは使う前に相談を
受診・相談の目安
「痛み止めを使っている・使いたい」という方へ。
こんな状態はありませんか?
- 月10日以上飲んでいる
- 飲んでも治まらない
- 黒い便が出た(胃腸出血のサイン)
よくあるご質問
市販の痛み止めと処方の痛み止めは違うのですか?
2種類の痛み止めを一緒に飲んでもいいですか?
痛み止めを飲むと胃が痛くなります。
湿布や塗り薬なら、飲み薬と一緒に使っても大丈夫ですか?
痛み止めを飲むと、病気のサインがわからなくなりませんか?
オンライン診療で痛み止めを処方してもらえますか?
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監修について:本記事は、当システム提携医師の監修のもと作成しています。運営者については運営者情報をご覧ください。
参考文献・出典:各成分の添付文書・医薬品インタビューフォーム/日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」(薬物乱用頭痛)
免責:本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、特定の医薬品の使用を推奨するものではありません。実際にどのお薬を使うかは、症状・体質・持病・併用薬をふまえて医師が診察のうえ判断します。お薬の使用にあたっては、必ず医師・薬剤師の指導に従ってください。緊急の症状がある場合は、119番または救急外来をご利用ください。