最終更新: 2026年11月|当システム提携医師の監修
漢方薬の使い分け入門 — 「体質で選ぶ」の意味、知っていますか

「漢方って、効くの?」「体に優しいだけでしょ?」——半分正解で、半分誤解です。漢方薬は保険診療でも広く使われている治療の選択肢で、場面によっては最初に選ばれることもあります。よく使われる処方と「選び方の考え方」を知っておきましょう。
- 漢方薬は多くが保険適用で、通常の診療でも広く処方されています
- 「症状」だけでなく「体質・体の状態」に合わせて選ぶのが特徴です
- 即効性のある使い方をする処方もあります(かぜの初期など)
- 漢方薬は複数の「生薬(しょうやく)」の組み合わせ。甘草・麻黄など、注意したい生薬があります
- 多くは食前・食間に飲みます。むくみ・息切れ・だるさなどが出たら中止して相談を
- 「自然由来だから副作用ゼロ」は誤解です。飲み合わせ・体質の確認が必要です
どうやって効くの? — 漢方薬のしくみ
漢方薬は、植物の根や皮、実などを乾燥させた「生薬(しょうやく)」を、いくつも組み合わせた薬です。ひとつの処方に複数の成分が含まれ、それぞれの働きが合わさって効果を発揮すると考えられています。
医療機関で使われるものの多くは「エキス製剤」です。生薬を煮出した液を乾燥させて顆粒や錠剤にしたもので、品質がそろえられ、保険で処方できます。
漢方では、症状だけでなく「証(しょう)」と呼ばれる体の状態を見て処方を選びます。たとえば次のような点です。
場面別・よく使われる漢方薬
| 場面 | よく使われる処方の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| かぜのひき始め | 葛根湯(かっこんとう) | ぞくぞくする初期に早めに使う「即効型」の代表 |
| イライラ・神経の高ぶり・不眠 | 抑肝散(よくかんさん) | 気持ちの高ぶりを鎮める方向で眠りを助ける |
| のどのつまり感・不安 | 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) | 検査で異常がない「のどの違和感」によく使われる |
| 天気が悪い日の頭痛・めまい・むくみ | 五苓散(ごれいさん) | 体の水分バランスを整える方向で使う |
| 冷え・生理に伴う不調 | 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | 婦人科領域で長く使われる代表的処方のひとつ |
| 胃もたれ・食欲不振 | 六君子湯(りっくんしとう) | 胃の働きを助ける方向で使う |
※ 「この症状にはこれ」と1対1で決まるものではなく、同じ症状でも体質・状態によって選ぶ処方が変わります。ここが漢方の特徴であり、医師に相談する価値のあるところです。
注意したい代表的な生薬
副作用の多くは、処方に含まれる特定の生薬と関係しています。複数の漢方薬を一緒に飲むと、同じ生薬が重なって量が増えることがあるので注意が必要です。
| 生薬 | 含まれる処方の例 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 甘草 (かんぞう) | 葛根湯、抑肝散、六君子湯、芍薬甘草湯 など非常に多くの処方 | むくみ・血圧上昇・手足のだるさや力の抜ける感じ(「偽アルドステロン症」)。重なりやすいので、併用時は特に注意 |
| 麻黄 (まおう) | 葛根湯、麻黄湯、小青竜湯 など | 動悸・不眠・血圧上昇・尿の出にくさ。心臓病・高血圧・高齢の方は注意 |
| 大黄 (だいおう) | 便秘に使う処方 など | 下痢・腹痛。妊娠中・授乳中は特に注意が必要 |
| 附子 (ぶし) | 冷えや痛みに使う処方 など | のぼせ・動悸・舌のしびれ。子どもや体質によっては注意 |
| 山梔子 (さんしし) | のぼせ・イライラに使う処方 など | 長く飲み続けた場合に、腸の病気(腸間膜静脈硬化症)が報告されています |
※ 処方によって含まれる生薬は異なります。今飲んでいる漢方薬に何が入っているかは、薬の説明書やお薬手帳、薬剤師に確認できます。
漢方薬のよくある誤解
飲み方のコツと、よくある副作用・飲み合わせ
市販薬と処方薬の違い
ドラッグストアでも多くの漢方薬が買えます。市販の漢方薬は、自分で症状に合うものを選んで使う薬です。製品によって、1日分に含まれる生薬の量が医療用と同じものもあれば、少なめのものもあります。
医療機関で処方される漢方薬は、多くが保険適用で、医師が体質や症状、ほかに飲んでいる薬を見たうえで選びます。合わないときに別の処方へ切り替えたり、西洋薬と組み合わせたりできるのも診察を受ける利点です。市販の漢方薬を1か月ほど続けても変化がない場合や、どれを選べばよいか迷う場合は、一度ご相談ください。
こんな人・こんなときは使う前に相談を
相談の目安
「漢方薬に興味がある・使ってみたい」という方へ。
こんな希望はありませんか?
- 西洋薬が体質に合わなかった
- 薬に頼りすぎたくない
- なんとなくの不調(疲れ・冷え・胃腸)が続く
よくあるご質問
漢方薬は保険がききますか?
ドラッグストアの漢方と処方の漢方は同じですか?
飲んでいるサプリや薬と併用できますか?
葛根湯は、いつ飲めばいいですか?
どのくらいの期間、飲み続けるものですか?
漢方薬はオンライン診療でも処方してもらえますか?
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監修について:本記事は、当システム提携医師の監修のもと作成しています。運営者については運営者情報をご覧ください。
参考文献・出典:各処方の添付文書/日本東洋医学会 関連情報
免責:本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、特定の医薬品の使用を推奨するものではありません。実際にどのお薬を使うかは、症状・体質・持病・併用薬をふまえて医師が診察のうえ判断します。お薬の使用にあたっては、必ず医師・薬剤師の指導に従ってください。緊急の症状がある場合は、119番または救急外来をご利用ください。